綿入りの畳である。畳表5枚を重ね、鏡と呼ばれる中央部分には、綿を載せ白地の大和錦を被せる。額縁の四方には赤地の大和錦の中に綿を入れて造る。これに対し同じ造りではあるが長方形の敷布団的な用途に使われると褥(じょく)と呼ばれる。 茵は、歴史の中で綿入りの畳から、現在の布団と稲藁で造られた畳に分かれる原型であったことが窺(うかが)える 写真の茵には、鏡にあたる白地の大和錦2枚で幅継ぎをしてある。古来、織物は一定の幅しかなく、広い部分に使用するには幅を継ぐ必要があった。現在では広幅の織物を1枚の幅で使うことができるが、あえて古来の形式をとった。 |
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材料 | ・畳表 半畳5枚 ・白地大和錦(白地小葵文様がよく使用される)( ・赤地大和錦(龍鬢は青地系統、茵は赤地系統が多い) ・赤い布地(裏張り用) ・綿 ・和紙(ハトロン紙可) |
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道具 | 畳製作に必要な道具一式 |
1. 額縁に使う大和錦の文様を見て、四方の寸法を決める。一般的な大きさは2尺7寸前後で、額の縁幅は3寸程度になる。 |
2. 芯にあたるござ5枚の寸法は額の中に綿を入れるので、綿の量によるが2〜3分程度小さめに造る。 |
1. 畳表5枚を縦横に重ね、千鳥縫いで綴じる。 |
2. 口から1寸入った部分に平刺しをして固め、寸法に落とす。 |
3. 和紙で斑のないように包み、糊で固める。 |
1. 紙で包まれた芯の表面に中央や、額の平刺し部分を鉛筆で印をつけておく。 |
2. 平刺しの線いっぱいに綿を一重広げ、一回り控えて2段目、又控えて3段目と綿をのせる。 |
3. 芯の中央や曲などに注意しながら、白地の大和錦を被せ、四方に均等に張り、仮止めをする。 |
4. 大和錦を芯に木綿糸と木綿針で引きながら縫い止める。 |
1. 下付きのほうから和紙または柔らかい紙を下紙にして、平刺しをする。但し、綿が多少、側面に回ることも勘定して1分5厘〜2分程度細く位置を縫う。 |
2. 下付きに続いて、上付きを平刺しする。 |
1. 表面の鏡を汚さないように保護しながら、裏に返して全体に赤い布を張る。 |
2. シワのないように仮止めをし、糸で縫いとめる。 |
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1. 下付きの縁を返して、中に綿を入れる。 |
2. 綿は、一重に入れ、隅を造り、糸を隠して返し縫いをする。 |
3. 続いて、上付きの縁を返して、合掌になる部分を三角に折り、重なる部分の綿の厚みを調整して、縁を返す。 |
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1. 合掌の部分の文様に充分注意しながら、先の曲がった木綿針で絎け縫いをする |
2. 四隅の合掌が済めば、上付きの返し縫を行なう。 |
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